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Gekkan Dennou Club 147
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Gekkan Dennou Club - 2000.8 Vol. 147 (Japan).7z
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Gekkan Dennou Club - 2000.8 Vol. 147 (Japan) (Track 1).bin
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Text File
|
2000-07-11
|
4KB
|
148 lines
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
17章
転調(3)
────────────────────────────
前章までに述べてきた転調はドミナントモーションがきっか
けとなる理論的なものだったり、平行移動による順次的な脈絡
で説明できる転調でした。
これに対して突然転調という、理論の範疇を無視して流れを
強引に変えてしまうブッ飛んだ転調があります。しかし、見よ
うによればその「唐突さ」も転調の魅力であり、トリッキー、
かつ、聴いてうなってしまうような見事な転調の追求も面白い
ものという気がします。
とはいいつつ、ここで使う「突然転調」は少なからず「俺用
語」であり、正しくは、楽典によれば突然転調はトニックが直
結したもの、という説明があるので先にこちらを解説しておき
ましょう。
────────────────────────────
トニックから転調
────────────────────────────
おそらく、あらゆる転調の中でも最も簡単な方法です。とに
かくコード進行の中で、トニックで終わる部分から転調します。
これはトニックがいかなる状況でもどんなコードにも進行可能
である、という機能上の性質を利用したものです。ここではキ
ーの変わり目を明確にするため、メロディライン、またはハー
モニーに強力な終止感が必要となります。よって代理トニック
ではダメで、正調トニックでなければ効果がありません。和声
的にも、新調前の段落感、という点で、あらかじめドミナント
(ツー・ファイブ含む)で新調を導く準備をするドミナント転
調との差異になります。
◎ トニックから転調 TYPE=OPM:SMP\S147_20.ZMS
◎ ソースを見る TYPE=DOC:SMP\S147_20.ZMS
Aマイナー4小節の後、トニックからBマイナーキーへ上が
って同じ内容を繰り返し、Bマイナーのトニックから再びAマ
イナーへ戻ります。この方法のありがたいところは、どんなキ
ーへ転調しても、転調先でトニックへ解決すれば、そこから簡
単に元のキーへ戻れることでしょう。
さて、転調先の選び方ですが、これといった決まりがあるわ
けはなく、どんなキーへも進入可能。いかにも「転調らしい」
転調感の強いは転調は、半音、M3rd上やオーギュメント上(+5th)
への転調です。これはスケールの色彩の点で元調との差異があ
まりにも大きいためですが、また一方で、両方のキーの間の共
通性を生かしたキーを選ぶのも有効。うまくすれば、2つのキ
ーにわたってまったく同じメロディラインを保つ事もできます。
Cメジャーなら共通音の多いFメジャーやGメジャー(いずれ
も近親調)が狙い目です。
◎ C→Fでも同じメロ TYPE=OPM:SMP\S147_21.ZMS
◎ ソースを見る TYPE=DOC:SMP\S147_21.ZMS
────────────────────────────
脈絡なく転調
────────────────────────────
ブッ飛んだ方の突然転調ですが、書いた通り、これには理論
的な説明をつけることはできません。
よくあるパターンとしては、例えばツー・ファイブ→まった
く関係のないキーへの進行、というのがあります。これは先読
みされがちな流れであるドミナントモーションの解決先に、予
想外の展開を置いて聞き手の予想を裏切る、という効果を狙っ
たものと思われます。
◎ サンプル TYPE=OPM:SMP\S147_22.ZMS
◎ ソースを見る TYPE=DOC:SMP\S147_22.ZMS
これは2小節のユニット単位でm3rdずつどんどん上に転調し
ていく例ですが、それぞれのキーの変わり目に次のキーを暗示
させる新調ドミナントを配せず、元のキーのセカンダリードミ
ナントからぜんぜん関係のないキーに転調しています。
◎ サンプル TYPE=OPM:SMP\S147_23.ZMS
◎ ソースを見る TYPE=DOC:SMP\S147_23.ZMS
これもきっかけのない転調例ですが、ちょっと大袈裟すぎる
パターンになっています。Cメジャーから飛びまくってCメジ
ャーに戻って落ち着くのですが、その間、転調のタイミングを
フレキシブルにして、なおかつそれぞれのキーでの進行に統一
的な規則性を持たせないことでキーをわかりにくくしています。
下手すると自分でもキーがわからなくなってアレンジの時に困
ったりするのでコメントを入れておくなりしてキチッと把握し
ておかないとまずいでしょう。
(EOF)